金継ぎの手順書
伝統的な修復技法
準備
1)器の素材や状態をよく見て修復方法を決定する。
2)使用した器の欠けであれば、油を含んでいる可能性が高いので無水アルコールで油分を取る。
3)修復部分の近辺は傷をつけないようにマスキングテープで保護する。特に素焼きの部分は漆で汚れやすいのでマスキングテープは必須。
前処理
修復するすべての断面に生漆*をめん棒で塗り、すぐに拭き取り、一日ねかせる、または焼き付け(120°のオーブンで2時間)。釉薬の下の貫入にシミができそうなときは膠、白漆、卵白等を下塗りする。
*含侵の漆は、生漆だけでもよいが、麦漆:生正味漆:溶剤1:3~4:適量をよく練り合わせ、広げて黒変するのを待ち、また練り合わせて広げる、を2,3回繰り返して小皿に取り、テレピンで薄める。多孔質の器には、無水エタノール(揮発性が高いもの)を使う。
基本工程表
| 工程 | 割れ | 欠け | ひび・にゅう | ほつれ | |
| 1 | 下地 | 下処理(研ぎ#400orリューター、生漆) | 下処理(研ぎ、生漆) | 下処理(ダイヤモンドビットで研ぎ、生漆) | 下処理(研ぎ、生漆) |
| 接合(麦漆) | 充填(刻苧漆) | 接合(薄めた麦漆) | |||
| 切削、研削#800, #1000 | 切削・研削#800, #1000 | テープで固定 | |||
| 小さい穴埋め(錆漆)*2 | 小さい欠け・穴埋め(錆漆) | ||||
| 2 | 必要なら錆漆の研削を繰り返し、表面を整える。一週間ねかす | ||||
| 3 | 中塗り作業*1(呂色漆)(2,3回繰り返す) | 中塗り | 中塗り | 中塗り | 中塗り |
| 中塗り研ぎ #800, #1000 | 中塗り研ぎ | 中塗り研ぎ | 中塗り研ぎ | ||
| 中塗りの後は一晩以上ねかしてから研ぐ。 | |||||
| 4 | 紛蒔きの下塗り(色漆に生上味1:1) | 金、真鍮→赤、 銀、錫→白 | 金、真鍮→赤、 銀、錫→白 | 金、真鍮→赤、 銀、錫→白 | 金、真鍮→赤、 銀、錫→白 |
| 5 | 粉蒔き | ||||
| 6 | 紛固め(optional) | ||||
| 7 | 磨き | ||||
*1中塗りは厚く塗らない(ちぢみやたれの原因となる)。研いだ時に研ぎ破って錆漆がでてきたら必ず塗り直す(下地がはみ出ていると水が入って剥がれる可能性)。
*2 錆漆で細かい凹みや穴をさらに埋める際には、水を多めにした柔らかい錆漆を使って筆で塗っていくとよい。
麦漆
強力粉、水、生漆
1.強力粉に同量の生漆を混ぜる。
2.常磐の上で10cmぐらい延びるまで練る。
3.そこに1割ぐらいの水を入れてさらに練る。グルテンと水が混ざってより粘りがでる(ラップに包んで2,3日は持つ)。
錆漆
砥粉、水、生漆
1.砥粉に水を少し加え、砥粉をつぶすような気持ちで練る。ピーナツバターぐらい。
2.そこに6割ぐらいの生漆を加えてさらによく練る。生チョコぐらいの硬さ。
刻苧漆
‐中島流
上新粉、水、生漆、木紛、刻苧綿
1.上新粉、水 1:4(50gと200cc)を鍋でまぜ、30分放置(なじむように)
2.コンロ強火 木べらで混ぜながら1分半
3.弱火にして4分 →粗熱をとる
サランラップに包んで保存、または小分けにして冷凍
2.米糊と生漆を1:1 へらで混ぜる →のり漆 (和紙や麻布を貼るとき)
3.のり漆と同量の木粉(白樺)を端に出す。反対側に刻苧綿。木紛1に対して刻苧綿0.5。これらを半分ずつ混ぜていく。健康な犬のうんちの硬さ
‐大脇流
みじん粉、水、生漆、木紛
1.みじん粉に水を足し、透明になるまで練る。
2.練ったみじん粉と同量の木紛を足してよく練る。
ガラスの修理
1.断面にガラス用生漆を塗る。
*ここで接着剤を使う場合、接着剤に金粉を混ぜて接着する方法もあり。その場合は4に進む。
2.箔を貼り、めん棒で抑える。一週間ねかす。
3.麦漆で接着。
4.錆漆で溝や穴を埋める。
5.中塗りを数回繰り返す。
6.粉を蒔く。
★接着剤を使い、金蒔きもレジンで行う場合には、金属粉を混ぜた接着剤で接着した後、金属粉を混ぜたレジンで蒔く。
★断面に色漆を塗ってデザインとすることも可能。